憧憬と兆しのあいだ
- Miyuki Kubara
- 2017年4月11日
- 読了時間: 1分

脊振の山 呼ぶ
春雨落とす明るい曇りに新緑の映え
終わり告げた旅
またはじめるように 呼んでいる
虚へおちゆく時代を
反映されたそのもとを たどるように
見続けるように
目の前に ひっそりと 隠されていた路あらわれる
しっとり滴る 芽吹いたもみじや散る桜の木々の 間
登りつめた 頂き 遠くはしる山の波と 佇み果てた小さなひとの町
やさしく閉ざす淡い雲塊
この小さな身を通し 地と天は貫ぬかれた
憧憬は古い旅の終わり 告げた
ひとの発する ことばはもはや意を成さず
ひとのつくる ひかりはいまや熱を奪う
影とひかりは 反転してしまった
それでもわたしの目は 順応しようと挑みつづけている
虚のひかりに ことばに 埋もれず 新しく見るよう
闇のなかの ひかりを
無言のなかの ことばを
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