愛すべき天と地のコントラスト・ 上海市
- Miyuki Kubara
- 2016年8月2日
- 読了時間: 3分
青春するまち
上空から、青々こんもりした静かな九州の島々が過ぎると徐々に情景は一転し、たった一片の自然の許されなかった人間大陸・上海市に入ってゆく。
街とひとが放つ熱と喧噪のなかへ、降りる。
天を指す青く真新しいビルはかなた、砂埃と古い油染みだらけの界隈を行く労働者はその熱を受け、また自らの熱で黒々輝いている。

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You Know Everything, But Me
你了解全世界、却不了解我
街行く人の目の、未来をみる嬉々とした無邪気さ。未知なる可能性に胸躍らせる人々の、たとえ自らの熱を酷使してもそれにかける人々の意識が街を満たし、街は高揚し、急速に成熟する。それがなにを生み出すのか未だ知らず。

オフィスビルはまっさらでemptyだ。しかしみえない希望のちからが満ちている。
盲目に恋する街とその結着を垣間みる新しい感性が生まれる。その‘Heart Broken’は孤独への希求として若いものたちに芽生えはじめる。
「You Know Everything,But Me你了解全世界、却不了解我」 コンビニで販売していた900万人閲覧というネット文庫の文庫本タイトル。
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愛すべき天と地のコントラスト
外灘 黄浦江 Huang pu liver
川を挟んで、向こうの彼岸は彼らにとって未来の絵。光輝きながら天高く威風堂々立ち澄ましている。こちら岸では地に生きる大多数の人間のひしめきが、その情景を求め移動し、手を伸べる。あたかも地べたから天の未来へと切望する何億の想いこそが、彼岸の景色を現実化しつづけているかのよう。
ホテルの窓より。遠くに完成された高層ビル群の静寂さと対象に、目下には建設中の荒野が広がる。
剥き出しの鉄骨のごんごん鳴り響く音、鉄さび、土煙、労働者たちの焼けた肌、野良犬、、、
夕方過ぎ道端にどこからともなく屋台が並び、仕事帰りの人々の賑わいは毎晩お祭りのように夜更けまで続いた。
月の眼は未来人の想いをもって、すべてを包んでいる。
未だ見ぬ天を目指し、未来を築こう
しかしこうして目に光宿し、素朴な願いを生きるその幸福以上に、
天上に住まう日の幸福がまさることはないんだよ、、
そっと、優しく見ている。
先行くものたち、熟れ落ちた社会の堂々巡りに生きる先進諸国人の、この若い街にかつてを顧みて、熟しすぎた自らの不幸せを還元すべく、未来への波にはたらきかける。
そうして、やはり、わたしたちはどこへ向かおう。

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